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第27回 旭ビ教養講座
2019.05.08 Wednesday 08:40

ssage bod

遺伝子組換え作物− 

1700年頃に植物の人工交配が行われ、人は交配による育種によって植物の遺伝子を操作するようになりました。
    20世紀に入り更に新しい育種法が開発されましたが(「第25&26回 旭ビ教養講座」)、一方で、植物細胞培養技術の進歩、細胞融合という新しい手法を用い、異なる種の植物の遺伝子を別の植物に導入しようとする研究も始まりました。
 現在では、任意の遺伝子を植物に導入することが可能になりました。すなわち、“交配できない”植物の遺伝子を持つ植物、更には植物以外の遺伝子を持つ植物も作ることが可能となりました。
 実際にどの程度の「遺伝子組換え作物(genetically modified organisms, GMO/GM作物)」が我々の周りにあるのかのお話をする前に、植物の遺伝子組み換えの理論、実際の手技についてお話したいと思います(ご確認をお願いしたいのが、μ(マイクロ)は10-6のことで、n(ナノ) は10-9 ですので、μメートル(マイク・ロメートル)は細菌の世界、 nメートル(ナノ・メートル)は原子・分子の世界のオーダーであるということです)。
    1926年に米国のモーガンによるショウジョウバエ遺伝学により現代遺伝学の基礎付けがなされ、1953年には米国のワトソン、英国のクリックがデオキシリボ核酸DNA(deoxyribonucleic acid)の二重らせん構造を解明したことで現代遺伝学は急速な進歩を始めました。そして、1973年に細菌において人為的な遺伝子組み換えに初めて成功しました。1984年には植物の遺伝子組み換えにも成功し、現在は遺伝子組み換えによる品種改良の時代になったと言っても過言ではないと思います。
    まず2本鎖DNAですが、ヒトでは直径2nメートル、全長1メートル!の糖、リン酸、塩基から構成されるDNAがハシゴのように2本平行に位置し、それがらせん状にねじれています。すなわち2本のDNAを合わせると全長2メートル!!の鎖です(実際の計算は逆で、1周らせんのピッチが3.4nメートルであることと核1個のDNA量より、核1個のDNAの総長が2メートルであることが計算で出ます)。DNAは、私たちの体の設計図であり、私たちの体を構成する約60兆個の細胞一つ一つの核の中にそれぞれ1メートルの2本鎖DNAがある訳です。
 もう少し詳しく言うと、長さ1メートルの2本鎖DNAはヒストンと呼ばれるたんぱく質に巻き付き直径約5〜10μメートルの核の内で、ヒトでは46本の染色体として“それぞれの長さ”の2本鎖DNA (すべて足すと1メートル) が不規則に折りたたまれて存在し、そして絶えず動いているとされています。染色体とは、塩基性の色素でよく染まる「遺伝情報の発現と伝達を担う生体物質」で、人の染色体は46本(22対の常染色体と1対の性染色体)です。
    一方、植物の染色体数は、例えばタマネギ16本、イネ24本で、タバコは48本です。DNA遺伝情報が、RNA(ribonucleic acid)により書き換えられる“RNA編集”が特徴的です。
    次に細胞の「形質転換(人の手で“ある生物の遺伝子”を他の生物に組み込むこと)」ですが、1973 年に米国で、世界で初めて大腸菌に対して行われました。それはまず、“制限酵素”でベクター(遺伝子の運び役)のDNAに切れ目を入れ、そこにブドウ球菌のDNAから“制限酵素”で切り取ってきた短いDNAを挿入し,DNA連結酵素によって結合させたのち,ベクターを取り込みやすくした大腸菌に取り込ませ、大腸菌の形質転換を起こしたのです。
    植物では、1970年代後半に土壌微生物の一種であるアグロバクテリウムが自らの遺伝子の一部を他の植物に導入することが確認されたことにより、急速に研究が進みました。  
    植物の遺伝子組み換え技術が、動物のそれより進歩したのは、まず、植物は分化した組織を脱分化した状態にしたり、それを再び分化させて個体を再生させることが容易だからです。分化した細胞から完全な成熟植物を作ることができる能力は“全能性topipotency”と呼ばれ、形質転換植物を作成する上でとても重要な性質です(ここが動物細胞と大きく異なる点で、最近、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成成功により、種々の細胞に分化する能力を持つ細胞を作ることが可能になりましたが、成熟個体は言うまでもなく、器官レベルの再生もまだまだ実験段階です)。
    そして、1984年にこのアグロバクテリウムを利用して、植物で初めての「形質転換」が報告されました。
    現在、植物に特定の遺伝子を導入するには、二つの方法があります。一つは、大腸菌の形質導入に似ていますが、その植物に感染しやすいアグロバクテリウムに制限酵素で切り取ってきた遺伝子を挿入し,連結酵素によって結合させたのち、アグロバクテリウムを植物に感染させ、切り取ってきた遺伝子を植物に導入する方法です。
もう一つの方法は、直接遺伝子を導入する方法で、物理的に遺伝子を導入する方法(パーティクルガン、エレクトロ・ポレーション法)と化学的に遺伝子を導入する方法(ポリエチレングリコール(PEG)法など)があります。パーティクルガン法は遺伝子をコーティングした金粒子を圧縮ガスを用いて触接細胞に打ち込む方法です。エレクトロ・ポレーション法とPEG法は、両者ともプロトプラスト(植物細胞から細胞壁を取り除いた細胞)の細胞膜に穴を開けて目的の遺伝子をその植物の細胞内に導入する方法です。
    植物における遺伝子組換え技術は1980 年代半ばには確立され、1994年に米国で世界で最初のGM作物、“日持ちの良い”トマトが発表されました。しかし、これは価格が通常より高めで、また消費者にとってはあまり大きなメリットがなかったために市場から撤退していきました。
    しかし、1996 年に発表された“害虫に抵抗性のある”とうもろ こしは市場に受け入れられ、その後こういった虫害抵抗性作物や除草剤耐性作物(「第22回 旭ビ教養講座」)は、作付面積を増やしていきました。
    現在は、その他にも、耐病性作物、保存性を増大させた作物、そして雄性不稔形質の付与と雄性不稔からの稔性の回復 (「第26回 旭ビ教養講座」)にも遺伝子組み換えの手法が用いられています。
 以上のように、作物の生産・流通に関係する部分が改変されているものは第一世代のGM作物と位置付けられていますが、消費者の利益が強調されたものは第二世代GM作物と呼ばれて、以下のようなものです。
 油脂を構成する脂肪酸の種類の改変で、健康によいとされる高オレイン酸ダイズ(「第24回 旭ビ教養講座」)等があります。
    ゴールデンライス:多くの発展途上国において深刻な問題になっているビタミンA欠乏症の解決策として開発されました。ビタミンAの前駆体であるβ-カロテンを内胚乳に含有するため精米された米が黄色を呈し、このような名称がつけられました。また、ゴールデンライスは自家採種が可能であるため、栽培農家は無償で永続的に栽培可能なコメを手に入れることになります。
 涙の出ないタマネギや褐変しにくいリンゴも第二世代GM作物です。。
    園芸作物では、交配では不可能な青色のバラは、青色色素合成遺伝子をスミレから単離し、バラやカーネーションに導入し実現させました(日本、サントリーフラワーズ)。
    GM作物の栽培国と作付面積は年々増加し、2015年現在、全世界のダイズ作付け面積の83%、トウモロコシの29%、ワタの75%、キャノーラの24%がGM作物との報告があります。
    2017年現在、日本で食品として安全性が確認され使用が認められているGM作物は、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイ、ジャガイモ、アルファルファ、パパイヤの8種類314品種で、また日本の輸入穀類の半量以上はGM作物であるという推定もあります。
    こうしてGM作物が増加している現状ではありますが、GM作物に対して不安感を持っているのは、勿論、日本人だけではありません。

図の説明:GM作物生産マップ。2014年時点でGM作物を耕作している(オレンジ色)のは世界で28カ国です。日本はオレンジ色になっていませんが、2009年からの青いバラの商業栽培により、GM作物の商業栽培国となっています。


Category : 肥料 | Author : tmek | - | - |