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第24回 旭ビ教養講座
2019.02.21 Thursday 09:44

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脂肪酸と健康 

日本人の3大死因は、「悪性新生物がん、心疾患、脳血管疾患」ですが、今回は、脂肪酸と心疾患、脳血管疾患についてお話したいと思います。
    その前に、「日本人が長寿であることは50年に及ぶ国民皆保険の成果である」という大変なお褒めの言葉をオランダの雑誌The Lancetからいただき、2011年9月1日刊行から何週かに渡り特集してくださいました。これ程権威のある雑誌が特集を組むことは珍しく、大変な名誉なことだと思います。
 脂肪酸の話に戻りますが、脂肪酸は分類が複雑で苦手だ、ということを昔からよく耳にしますが、最近出たペーパーで学ぶのはどうでしょうか。2016年にWang DD等がJAMA Intern Med. 2016, 176:1134-45.に載せたペーパーは、「飽和脂肪酸とトランス型不飽和脂肪酸(トランス脂肪酸)は死亡率を上げる」ということを言っています。これは1980年から2012年まで最長32年間、12万人以上(男女比約1:2)の追跡データの分析から出た結論です。
 折れ線グラフを見ますと、縦軸に死亡率、横軸にはその脂肪酸の”含有率”(正確にはその脂肪酸からのエネルギー供給率ですが)が示されています。「Monounsaturated fat」はそれを2%含む食事をしてきた方の死亡率は4%程減り、それを5%含む食事をしてきた方の死亡率は10%減ったという結果を表しており、この脂肪酸は“体にいい”ということを示しています。「Monounsaturated fat」は日本語では「単価不飽和脂肪酸」(ω‐9脂肪酸)で、これにはオリーブオイルが入ります。「オリーブオイルは体にいい」は本当でした。
    次に、さらに含有率が増えることで死亡率が減るのが、「Polyunsaturated fat」です。これは、含有率2%で死亡率が10%減り、含有率5%で死亡率が25%も減ったことがグラフからわかります。「Polyunsaturated fat」は日本語では、「多価不飽和脂肪酸」で、ω‐3脂肪酸とω‐6脂肪酸に分類されます。この二種の脂肪酸のことは後述します。
    反対に含有率が増えると死亡率が上がるのが、「Saturated fat」で 含有率2%で死亡率が4%上がり、含有率5%で死亡率が10%上がった脂肪酸は、日本語では「飽和脂肪酸」と呼ばれるもので、乳製品、肉などの動物性脂肪や、ココナッツ油、やし油など熱帯植物の油脂に多く含まれています。この脂肪酸は重要なエネルギー源でありますが、多すぎると冠動脈(心臓を養っている血管)疾患、肥満、糖尿病を招く可能性があります。動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く、肉、鶏、バターなどに多く含まれていますが、常温では固まっています。植物性でもパーム核油、ココナッツ油には飽和脂肪酸が多く、これは融点が低いので、冷えると白く固まってしまいます。パンに塗るココナッツ油はスーパーの棚に並んでいる時は透明な液体ですが、冷蔵庫に入れると白く固まってしまいます。だから飽和脂肪酸は体の中でドロドロになって血管がつまる、というふうに考えるはいいかもしれません。
 最も怖いのが、「Trans-fat」で、これは含有率2%で死亡率が20%上がり、そして含有率がもっと上がると、、、、とても恐ろしい結果です。これは日本語では「トランス型(不飽和)脂肪酸」で、これは天然の植物油にはほとんど存在せず、“人工的に作られた”不飽和脂肪酸です(パーム油に水素を付加した硬化油)。 主にマーガリン、ファッドスプレッド、ショートニングに含まれていて、それらを原料としてパン、ケーキ、ドーナツ、クッキーなどが作られ、我々はよく口にしています。トランス脂肪酸を長期に渡り過剰摂取していると、動脈硬化が起こり、虚血性心疾患のリスクが高くなるというエビデンスが示されたと言っていいと思います。
    また、トランス脂肪酸はパーム椰子から採ったパーム油を原料に作られるので、パーム椰子がボルネオ等で大量に伐採されており、地球温暖化の原因にもなっています。
    ここで、“体にいい”脂肪酸の話に戻りますが、“天然に存在する”不飽和脂肪酸は「体にいい脂肪酸」です。二重結合の数と位置により、まずは一価不飽和脂肪酸(ω-9系/オレイン酸、オリーブ油)と、多価不飽和脂肪酸に分けられます。多価不飽和脂肪酸はω‐3と ω‐6脂肪酸に分けられます。
    ω‐3脂肪酸はDHA=ドコサヘキサエン酸、EPA=エイコサペンタエン酸、ALA=α-リノレン酸で、EPAは青魚(まぐろ・さば・いわし等)に、ALAはえごま油、亜麻仁油に多く含有されています。DHAはEPAの分解産物です。
    EPAは、イヌイット(エスキモー)は心血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞)が少なかったが、北欧人と交わり欧米的な生活をするようになってしばらくすると、心血管疾患の発生率が欧米人と変わらなくなってしまった、という事実から研究が始まり、その結果イヌイットがよく食す青み魚に含まれているEPAが心血管疾患の発生を抑えていることが分かりました。
    えごま油、亜麻仁油などのALA=α-リノレン酸はヒトの体内に入って、EPAに変わるとされます。
    最後に、ω‐6脂肪酸は「体には必要だが、取りすぎるとよくない脂肪酸」で、“体に必要”な脂肪酸というのは、多くの脂肪酸は他の材料からヒトの体中で合成できるのですが、それは体内で合成できず、でも体に必要だから外から取らなくてはならない脂肪酸のことです(狭義の必須脂肪酸:ω‐6のリノール酸、ω‐3のα-リノレン酸)。ω-6系/アラキドン酸、リノール酸は必須脂肪酸なので、少なすぎると出血傾向が出ます。しかし、取りすぎるとやはりよくありません。ごま油、コーン油、大豆油、牛肉・豚肉などがそうです。取りすぎは要注意の脂肪酸です。
    ここで混同してはいけないのが、「えごま油と亜麻仁油」は体にいい油、「ごま油」は要注意油ということです。
    ところで、心血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞等)にはいいとされるEPAは、認知症を軽減した、効果がなっかたとするペーパーはそれぞれあります。しかし、ω-9脂肪酸 (単価不飽和脂肪酸):オリーブ油に多く含まれるオレイン酸や、ω-3脂肪酸(EPA, DHA, ALA):青魚に含まれるEPA、DHA、えごま油・亜麻仁油に含まれるALA=α-リノレン酸は摂取して悪い、ということはなさそうです。
    最後に、色々なメディアで言っているからといって、その根拠=ビデンスのないものは信じてはいけません。インパクト・ファクター(IF)はその指標の一つで、“どれだけ参考文献として引用されているか、すなわちどれだけ影響力があるか”の指標ですが、IFの高い雑誌は、何人もの査読者がおり“信頼される雑誌”なのでそれだけ参考文献として引用される、と考えるといいです(国立大学での科研費請求で、自分の書いた雑誌のIF1点あたり100万円もらえるという話も昔ありました)。例えば、アメリカ消化器病学会誌GastroenterologyのIFは20.773(2018)ですが、通常4〜5人ほどで査読し (矛盾点を突いたり、追加実験を指示したりします)、最後にチーフ・エディターを加えると5〜6人がOKして初めて世に出る訳です。前述のLancetのIFは53.254です(2018)。

 



Category : 肥料 | Author : tmek | - | - |