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第42回 旭ビ教養講座
2020.09.15 Tuesday 10:27

ウリ科の施肥設計(元肥) 

これから8回にわたってお話しする各種作物の「施肥設計(元肥) 」と「追肥のやり方」は、 主に弊社肥料チーム顧問の高田清春の知識と経験に基づいたもので す。
高田は昭和10年(1935年)2月8日生まれで今年で85歳に なります(写真5)。北海道空知郡雨竜町に生まれ、 最終学歴は中学卒だそうです。色々な仕事をしたそうですが、20 歳からは主に農業(農家)になりました。 高等教育は受けれませんでしたが、非常な勉強家・ 研究家でトマトの名人が茨城にいると分かると住み込んで勉強し、 メロンの名人が静岡にいると聞くと手伝い/勉強に行きました。 しかし、その学んだ通りに北海道で同じように作っても、 土壌や気候が違うので上手くいかなかったようですが、高田は“ 農家”なので自分で色々試行錯誤し、「 北海道ではもっと窒素がいるな」とか自身で修正し、 その結果をフィードバックしていきました。そのデータは昭和60 年(1985年)あたりから残っており、私個人的には、「 道産子栄誉賞」をあげたいくらいです(^^))。
高田は昭和60年(1985年)に弊社営業マンとなり、 第一号の施肥設計は昭和61年(1986年)新十津川農協(現J Aピンネ)の「長ネギ部会」立ち上げの時に5人の生産者様に行っ た施肥設計です。
高田は20年余り弊社に努めて退職しますが、平成27年( 2015年)1月に弊社肥料チームを発足させた際、 顧問として戻って来てくれました。
勿論、85歳という年齢なので時々少しおかしなことも言いますが (ドーパミンが枯渇しつつあるのか、、参照「第30回 旭ビ教養講座」)、作物に関しては全くブレがありません。 今年令和2年(2020年)は9月現在、49件の農家様に149 例の施肥設計を行っています。
施肥設計をするうえで、まず最初に量を決める最も重要なものは、 「窒素・リン酸・カリ(カリウム)」の「窒素N」 と言っていいと思います。
今回は、ウリ科(瓜科)の作物:メロン、スイカ、カボチャ、 キュウリで、そのNの施肥量をお話したいと思います。
メロンのNは基肥では16~20kg/10a(1反,300坪) が適当です(写真1、2)。追肥は液肥で3回位がいいようです( Nは1回に約1.5~2kg位)。 

スイカ(西瓜)のNは基肥では6~8kg/10aで、 追肥は液肥で4~5回位がいいようです(Nは1回に約1.5〜2 kg位)。葉面散布としてやりますが、Nの入ってない多要素のも のがよく、スイカは蔓ボケしやすいので、Nが多く入ったものは使 用しない方がよいようです。
カボチャ(南瓜) のNは基肥で5~8kg/10a、追肥は液肥で2~3回くらい( Nはできるだけ控え目に)。あまり基肥にNが多いと蔓がボケて実 が付きにくくなります。葉面散布はしない方がよく、 追肥は程々にと言っています。
キュウリ(胡瓜)の Nは基肥では20~22kg/10a(写真3,4)、追肥はNば かりでなくK なども液肥を使って灌水から流し、場合によっては7~8回した方 がいいそうです。キュウリ はN欠乏やK欠乏が出やすく、Kや水が不足するとすぐキュウリは 曲がってしまうからです。


あと、カンピョウ、ヘチマも瓜科です。
以上はあくまでも土壌中のNが基準値の場合で、土壌にNが多くあ る場合には少なめに、 土壌に少ない場合には多めにやるのは当然のことです。
ところが、 リン酸とカリは通常の土壌診断で普通に測定できるのですが、Nは 通常の土壌診断の項目には入っていません。「アンモニア態窒素」 「硝酸態窒素」「熱抽性窒素」という形で測定はできますが、 通常別途追加料金がかかります。Nの過不足はトマトなどは木の勢 いを見たり、 ピーマンなどは葉の開き方を見たりして判断しますが、EC (electric conductance)による土中残存窒素の推定式: 残存窒素推定量(mg/100g)=EC x 24.37−3.44 は有用かもしれません。
いい作物を育てるのに最も重要なのは、窒素、リン酸、 カリの値をその作物のその地域の「窒素、リン酸、カリ」 の基準値に近づけるように施肥することですが、 長く作物を採るためにはその他に「pH値」と「Ca/Mg比、M g/K比」がとても重要になります。
pHの定義は、「水素イオン濃度をmol/L で除した値の逆数の常用対数」すなわちpH=−log10[H+ ]/mol/L)ですが、簡単に言うと、pHとは物質の酸性・ アルカリ性の度合いを示すものです(「第9回旭ビ講座」)。pH は0から14までの値ですが、実験室では7より小さい場合を酸性 、7より大きい場合をアルカリ性、つまり7が中性です。
ヒトの場合の“中性”は pH7.35~ pH 7.45で、(一般の)作物の“中性”はpH 6.0~ pH6.4です(ホウレンソウのようにpH 6.5~ pH 7.0ともっとアルカリ性を好む作物もありますが)。
ヒトの場合、血液のpHが正常値の7.35~ 7.45を外れると、心臓の不整脈が出て心停止を起こし、 そのままだと死亡してしまいます(「第9回旭ビ講座」)。
植物には心臓がありませんので“すぐ死ぬ”ことはありませんが、 長年にわたり至適pHの 6.0~ 6.4を外れていると、他の要素、 特に微量要素を植物が吸えなくなってしまい段々作物として取れな くなっていってしまいます。
土除診断をしてpHが至適pHを外れていたら、 基肥の肥料で酸性、アルカリ性を調整します。例えば、Nを単体で 供給したい場合にも、硫安(酸性)にするか尿素(中性)にするか は、土壌のpHを見て決めます。ひどく至適pHよりかけ離れてい る場合には土壌改良材にも分類される肥料であるタンカル(炭カル 、炭酸カルシウムCaCO3)等も用います。
pHと並んで重要なのが、「Ca/Mg比」と「Mg/K比」 ですが、これは経験的に“Ca/Mgの適正値は4〜8”、“Mg /Kの適正値は2以上”とされていますが、 これを科学的に説明した記述は見つけることはできませんでした。 しかしCell biology的に考えると“そのイオン・ チャンネルへの競合がある”とすると説明がつきます。
すなわち、動物でも植物でも細胞膜にはイオンを通す通路(チャン ネル)があるのですが、CaがCaチャンネルを通って細胞外から 細胞内に入ろうとする時、“MgがCaが入るのを邪魔する(競合 する) ”ということです。KとMgにも同じことが言えます。動植物のC aチャンネルやKチャンネルは古くから同定されていた一方、Mg チャンネルが中々発見されなかったのは(すべての動植物で発見さ れたわけでない)、MgチャンネルはあってもMgがそのチャンネ ルを通って細胞内に入って行ける量は少なかったからだと思います 。よってMgはCaチャンネルやKチャンネルという“ 他のイオチャンネル”を通るしかないのです。ですから、例えばM gをあまりに多く投与するとCaやKがMgに邪魔されて細胞内に 入っていけないので、適正な“比”を守る必要がある、 と言うことです。
我々の表(写真1、3)の一番の特徴は、 これらの肥料を加えた場合のCa/Mg比、Mg/K比を計算して いるところです。
これはちょうど、タンカルを入れたら「135で割っていくらpH が上がるか?」を計算しておかなければならない事と同じです。


Category : 肥料 | Author : tmek | - | - |
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