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第41回 旭ビ教養講座
2020.07.09 Thursday 16:30

ポリ袋有料化とバイオマス〜石油の功罪 

地下から湧く燃える水の存在は、古代から知られていました。4世紀の中国で石油の採掘が行われたという記録もあります。しかし大量生産は1855年の米国の油田開発からで、機械掘り油田の出現によります。19世紀後半には、米国、ルーマニア、ロシアのコーカサス地方が石油の産地となりました。

 当時は、車(の内燃機関)の燃料としてアルコールを利用したものが一般的で、フォードT型モデルは1ガロンのアルコールで34マイル走行し、全世界で1500万台を売り上げました(リチャード・フライシャー監督の「海底2万マイル(1954)」ではネモ船長は、帆船時代の19世紀にアルコール内燃機関を発明し、その動力で潜水艦を動かしたという設定です)。一方1863年、ジョン・D・ロックフェラーはオハイオ州クリーブランドで石油精製業に乗り出しました。彼は石油から灯油を採った後に残るガソリンを当初産業廃棄物として闇夜に乗じて川に廃棄していましたが、これを内燃機関の燃料として再利用できないかと考えました。石油を使用したエンジンは1858年のルノアール・エンジンが最初でしたが、1876年にはドイツのニコラウス・オットーがガソリンで動作する内燃機関を発明し(圧縮して起爆させる)、ドイツのゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツがそれを各々改良し、各々特許を取りました。

 第二次大戦後、石油の新たな用途として、既に戦前に登場していた化学繊維やプラスチックが、様々な工業製品の素材として利用されるようになりました(なお、世界最古の石油製品は石器時代の天然アスファルトとされています)

 現在パッケージ等に用いられるプラスチックにはポリエチレンPEが圧倒的で石油製品の6割以上を占めます。具体的な製品は、ポリエチレンPE(レジ袋や、ラップ、容器など)、ポリプロピレンPP(耐熱容器やラップなど)、ポリスチレンPS(発砲スチロールなど)、ポリ塩化ビニルPVC(ビニールハウスの展張資材、塩ビパイプ、ソフビ玩具など)とPET(ペットボトルなど)です。 Polyethylene terephthalateは合成樹脂とした方がよいのかもしれませんが、ここでは日常用語としての「プラスチック」の分類としました。

1930年代から商業的な発展を遂げてきたプラスチックは、現在、世界で年間約35000tが生産されており、今後2030年には約2倍、2060年には約4倍なることが予想されています。

 しかし、このようにこれまで人類が多大な恩恵を受けてきた石油/石油製品は、現在では厄介者となってきてしまっています。それは、まず火力発電を含め石油等を燃やすと二酸化炭素CO2が発生し、地球温室効果につながってしまうからです(ガソリンを燃やすとCO2だけでなく窒素酸化物という人体に有害な物資も生成されます)(写真2「第37 旭ビ教養講座」)

 同様に石油製品も燃やすとCO2を発生し(十分に高温でないと有害なダイオキシン等も発生します)、埋め立てる土地にも限りがあります。

 プラスチックによる海洋汚染問題については、1970年初頭に初めて指摘されました。海洋に流出したプラスチックごみ(写真34)の発生量を国別に推計した結果は、1〜4位を東アジア・東南アジアが占め(1972)、そして2016年には太平洋におけるマイクロプラスチックの浮遊量が計算され、それは特に北半球に多く、8月の日本周辺ではその重量濃度が500g/m3を超える海域もあり、南半球(10g/m3以下)のそれよりもはるかに高かったのです。「マイクロプラスチック」とは、海で漂流する間に劣化と破砕を重ねながら次第に小さくなっていき、直径5侈にとなったプラスチック片の事を言います。

 マイクロプラスチックに関しては、それに付着する物質から健康に対する影響が懸念されています。まず、ポリ塩化ビフェニルPCBPoly Chlorinated Biphenylですが、これは電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されましたが、人体への悪影響が明らかになったため、我が国では1972年以降その製造が行われていません。脂肪に溶けやすいため、体内に徐々に蓄積し、以下のような様々な症状を引き起こします。目や、爪や口腔粘膜の色素沈着、ざ瘡様皮疹(塩素ニキビ)、爪の変形、まぶたや関節の腫れ、そして更に発癌性、催奇性があることも報告されました。

 次にダイオキシンDioxinですが、除草剤の製造やごみ焼却時の化学反応などから生ずる人工的化合物で、発癌性や催奇形性の強い物質です。

 そしてDDT:dichlorodiphenyltrichloroethaneはかつて使われていた有機塩素系の農薬(殺虫剤)ですが、DDTの分解物(DDEDDA)が、環境中で非常に分解されにくく、また食物連鎖を通じて生物濃縮されることがわかり、わが国では、1971(昭和46)に販売が禁止されました。

 また、マイクロプラスチックに何らかのホルモンが付着し環境ホルモンを変え、精子数を減少させ不妊症になったり、男性が女性化するという仮説もあります。

 このようなことから何とか「海洋性プラスチックごみ/マイクロプラスチック」を減らそうという国際協力が始まりました。それには3Rを行うこと。即ち、Reduce:包装を軽くしたり、簡略化するなどし、なるべくごみを出さないようにする。Reuse:使用済みの製品を回収してもう一度使う。Recycle:使用済み製品や容器包装などを回収し、原材料または焼却熱のエネルギーとして利用することが重要です (写真52018年オランダ、スキポール空港にあったゴミ箱。左端の「paper()」から時計回りに「bio waste(生分解性廃棄物、所謂生ごみ)」「glass(ガラス)」「residual(その他))

 1987年に、分解性プラスチック(日光によるにせよ、微生物によるにせよ溶けるプラスチック)の国際会議が開催され、米国の23の州でパッケージ用プラスチックの一部を分解性にするよう義務付ける法案が提案されました。

 溶けるプラスチックと聞いて、消化器外科医だった私はまずテレビ映画「刑事コロンボ」の「融ける糸(1973)」を思い出しました。犯人は心臓外科医に扮するレナード・ニモイ(「スター・トレック」のMr.スポック!!)が「融ける糸」=外科吸収糸(1週間程で吸収される)を悪用し(非吸収糸を使わなければならない吻合・縫合のところに吸収糸を用い)殺人を行う、という設定です。消化器外科で溶ける糸を使う理由は、感染のを作らないことで、それまで使用されていた吸収糸「カットグット(文字通り、羊や牛の小腸)」に加え、合成吸収糸として1960年代にポリグリコール酸が合成された結果、まずDexon®が出現し、そしてVicryl®が続きました。手術していた当時を振り返って今マイクロプラスチックのことが気になりましたが、体内にあって海には出ないからまあいいのか〜と思いました。

 もう一つ、私が溶けるものとして関わったものが農業用マルチです。これは、ビニールハウス程大きくない小さなトンネル等に使ったり、べた掛けしたります。

 農林水産省は今年2020年に「施設園芸における廃プラスチックの対策の推進」「生分解性マルチ導入の推進」「畜産における廃プラスチック対策の推進」「プラスチックを利用した被覆肥料の実態調査」の4項目を重点事業として掲げていました。

 「生分解性マルチ」もいいのですが、水とCO2まで分解されるには堆肥などど一緒にし(微生物が活動する)高温状態が必要なのを忘れてはいけません。

 「プラスチックを利用した被覆肥料」とは、即効性の化成肥料をある時期に効かせるために仁丹の大きさの球状のプラスチックの中に肥料を入れたものである時期に肥料は溶け出るのですが(例エコロング413)、植物系ポリウレタン樹脂のように光や微生物により分解・崩壊する材質でないとその殻はそのまま土の中に残ってしまい、海洋に出てマイクロプラスチックになってしまいます。また、別の調査によると、人工芝がマイクロプラスチックの大きな原因となっているという報告もあります。

 そういう中、来年20211月に、20195月に改正されたバーゼル条約が発効し、汚れたプラスチックゴミの輸出に相手国の同意が必要となります(畜産では特に汚れてしまいます)

 廃棄物の発生抑制(Reduce)のために、日本では20207月からゴミ袋を有料化して、マイバックを使ってもらおうとすることが始まりました(写真1、袋に金を出すのが嫌だからマイバックを持って行こう、という考え)。ゴルフのティーやボールマークもいずれプラスチックでなくなると言われています。

 しかし、無料のプラスチックバックは存続し「植物由来原料、バイオマス成分を25%以上配合しておりますので、プラスチック製買物袋有料化の対象外となります。」の表記がされています。

 バイオマスとは生態学で、生物体量や生物量のことで、転じて生物由来の資源を指すこともあります。物を燃やせば、CO2を空気中に放出してしまう訳ですが、燃やすものが植物(由来の資源)ならば、その植物は昼間太陽光を浴び光合成をしてきた(デンプンを作るために空気中のCO2を取り込んできた)のでプラマイゼロだろ?とする考え方です(「カーボンニュートラル」)

 しかし、バイオマス成分が25(以上)のプラスチックバックなら使っていいということだが、「75%は石油だろ!?」という国際的な批判もあります、、、


Category : マイクロプラスティック | Author : tmek | - | - |
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